本日より、コラムを開始いたします。社員のメンタルヘルス向上や組織の活性化による生産性の向上をめざす、中小企業の経営者、総務・人事担当者のお役に立てる記事を掲載してまいります。第1回のテーマは「中小企業におけるメンタルヘルス対策の難しさ」です。どうぞよろしくお願いいたします。
先日、日本経済新聞で、中小企業におけるメンタルヘルス対策の遅れについての記事が大きく掲載されました。記事では、若手社員のメンタル不調がこの10年で大きく増加していること、その背景として仕事だけでなく家庭や生活面を含めた悩みの多様化があることが指摘されています。また、企業側としては従業員が管理職に相談しやすい職場づくりの重要性が高まっているとも述べられています。これは多くの中小企業にとって、実感に近い問題ではないでしょうか。
対策の必要性は広く認識されているが
メンタルヘルス対策の重要性は、今や企業の間で広く認識されています。大企業を中心に制度整備が進み、中小企業においても相談窓口の設置、ストレスチェックの実施、外部専門家の活用などの取り組みは徐々に広がっています。しかし記事でも指摘されている通り、課題は認識しているものの「手が回らない」という状況が多く見られます。
なぜ対応は難しいのか
その理由の一つは、人的リソースの問題です。中小企業では人員に余裕がない場合が多く、不調者が出た際の業務代替が難しい、配置転換などの選択肢が限られるといった制約があります。専門の相談窓口を設けられる余裕もないというのが実情ではないでしょうか。
さらに近年は、共働きや介護など家庭課題の増加、ストレス要因の多様化により、従来よりも対応の難易度自体が高まっていると考えられます。
管理職に期待される様々な役割
こうした中で期待されるのが、社員と日常的に接している現場管理職によるラインケアです。しかしながら、昨今の管理職はプレーイングマネジャーとして、自らの業務の遂行、チームとしての成果の達成、経営層と現場の橋渡し、顧客や取引先とのトラブル対応、社員の育成、キャリア支援など、実に多くの役割を同時に担っています。社員のメンタルヘルスの問題など十分な知識がないものも含めて、管理職の個人的な力量にゆだねられているのが現状でしょう。
仕事ができる管理職ほど難しい?「話しやすい職場」
記事では、従業員が管理職に話しやすい職場づくりの重要性が指摘されていますが、現場を見ていると、それを実現することの難しさも感じられます。その理由の一つは、管理職自身の経験にあります。管理職の方々の中には、成長過程において自ら困難に打ち勝ってきた体験をしてきている方も多いのではないでしょうか。
上司に気軽に相談できる環境、個人の状態に寄り添ったマネジメント。そうした環境がなくとも困難を乗り越えてきたとするならば、話しやすい職場をいかに作るか、といった点について、手探りの状態で対応せざるを得ないケースも少なくありません。あるいは、忙しさのために、社員の状況に意識が向けきれていないことも考えられます。
今後に向けて
メンタルヘルスは、個人の問題として捉えられがちですが、実際には職場環境や組織運営と密接に関係しています。多くの役割を担う管理職をいかにサポートしていくかが、社員のメンタルヘルスを維持・向上していくための重要なテーマとなっていくと考えられます。
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